2007年02月25日

Wiiの戦略を考える

Clare Bridge

突然ですが任天堂のゲーム機WiiでMSXのゲームが遊べるようになるみたいです。
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070223/vc.htm

この記事を見たときは体が反応をせずにはいられませんでした(笑)。なんせ自分は思い切りMSX世代で、BasicとMSX版Ysシリーズとかにどっぶりハマって育った口ですので。任天堂のHPをみたら他にもファミコンからPCエンジン、NEOGEOとかまで幅広く昔のものが遊べるようになっているみたいです。全く知りませんでした。これは面白いと思いWiiの戦略について考えてみました。

Wii、PS3、X-Box360の三つどもえ体制になってからはそれぞれ独自色が強くなり、以前の世代よりもdifferentiationが目に見えてわかるようになった気がします。Wiiは明らかに子供から大人まで、ゲーム初心者も含めた幅広い層をターゲットにしているのに対し、PS3は最新技術を全面に推しだし、18歳〜20代後半の独身あたりのコアユーザをターゲットにしてるのがわかります。3社のシェアは先日FTにも載っていましたがWiiが68%、PS3が25%、X-Boxが7%でいつの間にかずいぶん差が開いているみたいです。

自分(家族のいる30代)の観点から見た3つのゲーム機の印象はこんな感じでしょうか。

【Wii】
@操作が簡単そうだし子供とも一緒に遊べそう。購入を検討するとしたら妻も多分これなら承認しそう(笑)。要は家族全員でも遊べそう。
AMSX始め昔のゲームで遊べるというのは非常に興味をそそる。
B比較的価格も手頃で手に届きやすい。そう言う意味では敷居が低い。

【PS3】
@クールなイメージもあるし、高機能なのでリアルなゲームとかで遊べそう。ブルーレイディスクは魅力。従来のゲーム機のありかたを超えた領域に入りつつある印象。
A技術が先行しすぎてソフトメーカに負担がかかってはいないか?コスト的にもソフトメーカが果たしてどれだけコンソールのポテンシャルを引き出すソフトを継続的に作れるのか疑問が湧く。
B高機能なのは素晴らしいが、ゲームの中身があまり複雑になってくると取っつきにくいし、この年になると面倒になってくる(笑)
Cブルーレイディスクプレーヤとして見たら安価で良いかもしれないが、まだHD-DVDとどちらが市場リーダーになるか見えない状況では購入を後押しする要因には(まだ)なりにくい。更にその場合多分自分は単体プレーヤを買う(その時はSonyで!)。
Dターゲット層の割には価格が高め?

【X-Box 360】
@あまり印象がない(申し訳ない)。どっちかと言えばPS3に近いスタンダードなゲーム機?価格も特段安いわけでもない。
ACost LeaderでもないしDifferentiatorでもないし、「Porter's U-Shaped Curve」で言うところのStuck in the middleというやつでしょうか。特段買う理由を見つけられない(いやホント申し訳ない)。Microsoftという冠がなかったらどうなってることか。

限られた情報や知識を元に独断と偏見に満ちた見方を書いてしまいましたが、なんとなくこのイメージがシェアにそのまま反映してるような気もしないでもないです。

レトロなゲームで遊ぶことができる機能を追加した任天堂の戦略は非常にうまいと感じずにいられません。3つのなかで小さな子供が一番取っつきやすいのは間違いなくWii。その財布を握っているのは当然その親である我々の世代。その世代に訴えかけるように懐かしのゲームのラインアップを揃えてある。売れないわけない気がします。この懐かしのゲームが遊べるバーチャルコンソールがどういう仕組みになっているかまでは詳しく知りませんがもし任天堂にしか出来ないのであれば非常に大きな強みです(いやファミコン系のソフトは任天堂しか扱えないから過去の資産を生かした独自の強みと言えそうです)。PS3とかでも似たようなことをやるのはもちろん技術的には可能なのでしょうが戦略イメージに合わないのでやらなそうです。あとWiiの親しみやすさでいうと、マリオを世代を超えたマスコットキャラクターとしてうまく使っている気がします。他のゲーム機には見られないアプローチではないでしょうか。

ここで湧いてくる疑問が一つ。果たしてWiiはBlue OceanなのかDifferentiatorの一つなだけなのか?PS3と比較する戦略キャンバスを作ったら結構違うグラフが出来そうな気がします。従来のゲーム機と違い、ターゲットオーディエンスも違えば、ユーザとのインターフェースとなるコントローラーの形も大きく変えたし、バーチャルコンソールで追随を許さない独自色を打ち出し、技術力一辺倒でなくわかりやすさ・使いやすさに重きを置いているし。ファミリーエンターテイメントの手段として見るとCompetitorの絵も変わってきそうです。ん〜、自分はBlue Oceanに一票でしょうか。
posted by kensuke at 08:46| Comment(6) | TrackBack(2) | 雑感・独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
MSXは熱いですね。NEOGEOもさりげに熱い気がします。侍魂とか。
ゲーム機私も同様の認識です。X-BOXはアメリカ系ゲーム愛好者向けという認識でもあります。PS3は価格面と使い方の提案が具体的になれば、各家庭に1台という可能性もあると思うのですが、セルを売り物にするあまり「ハイエンドゲームマシン」という隅っこに自らを位置づけてしまい一般を遠ざけてしまった感があります。
Wiiに関して思うのが、DSやPSPとの垣根。確かにTVを必要とする・しないで明確に線は引けるものの、とっつきやすさ・遊びやすさという観点ではDSやPSPはWiiに近い(特にDS)。現に、DSは相当裾野を広げたわけですし、それにWiiが乗ってるという気もします。顧客ベースでは明らかに重なってますね。そろそろ携帯ゲーム機というカテゴリーを見直す時期に来ているのかもしれません。
さてWiiはブルーオーシャンかどうか。まぁ定義は偉い学者さんが5年後くらいになんとかするんでしょうが(T型フォードもブルーオーシャンとのことですんで!)、気になるのが価格設定。ハードウェア的には旧世代のものに3万円以上はいかがなものか。ヌンチャクも別売りだし。「あたらしい遊び方」という付加価値にプレミアをつけているところから考えると、個人的には巧妙な差別化戦略というところに落ち着くのではないかと思われます。品薄感を維持して価格を維持するTacticsも任天堂のCore Competenceになってきた感あり^^;
むしろ、DSの方がよりブルーオーシャンに近いのではないでしょうか。安い価格、差別化機能、新しい価値観の提案、全く異なる顧客層の開拓などなど。もっともWiiもDSも、Sonyと競争していませんよ的なところはブルーオーシャンチックではありますけれど。
あ〜ところでFYI。闇の次世代DVDスタンダード支配人18禁ですが、Blue RayもHD-DVDもどちらも出始めているとのこと。こちらの方も目が離せません。あ、もちろん友人からの情報ですが何か?
Posted by shige at 2007年02月25日 09:44
早速考察を寄せてくださりありがとうございます。しかも最後はちゃんとオチをつけてるし。さすが関西人(笑)!

携帯はさておき、据置型コンソールってくくりでみると3つのうちどうやらWiiが最安値みたいですね(思わず調べてみてしまいました)。Wiiはリモコン、ヌンチャクつきで希望小売価格が25,000円みたいですよ!(マジで買おうかな)。ただおっしゃるとおりの品薄戦略のせいかオンラインショップで28,000円とかで売られてますね。プレミアついてる!・・・その点X-Boxは36,000円くらい(これまた中途半端な価格設定だなぁ)、PS3はHDD20Gbモデルでも4万以上。Wiiはこのくくりではプライスリーダーでもあったみたいです。

では他との比較を抜きにして、そもそもWiiの25,000円というのはOptimal Priceと言えるか。この値段なら自分なら買ってしまいます。もちろん本体だけでは何も出来ないのでソフト代が追加コストとしてかかり総額は結構行ってしまうかもしれませんが。DS Liteが18,000円強で売られていることを考えるとさほどのプレミアとも言えないかもしれません。

WiiとDSは顧客セグメントと使いやすさという売りは一緒ですが、使う目的が違うのでお互いのシェアを食い合うと言うことはなさそうですね。Wiiはやはり大画面の前で敵相手に剣を振り回す、とかですし、DSはソファで寝っ転がってとか外で待ち時間とかに脳トレでもやって暇つぶし、とかですしね。共存は大ありですね。

BR・HD-DVDの覇権争い、映画会社の誘致とかも良いですがそういう市場のメーカを囲い込む事も大事ですよね(笑)。むしろそっちの方が(ry
Posted by kensuke at 2007年02月25日 11:04
同じ京都の企業として、また当社の顧客として(Wiiリモコンから出る効果音の音源ICは当社製です)、Wii発売直前に、任天堂のI社長からお聞きしたことがあります。

「PS3やXBOXとの競争に勝てるのか?」という質問に対して、同社長いわく「少子化が進む中で、既存のゲーム人口は確実に減少していきます。任天堂が目指したいのは、これまでゲームをすることが生活の一部になっていなかった大多数の層(高年者や女性)に親しんでもらえる、まさに誰でも遊べる製品を提供することなのです。もともとの発想が違うので、他の2社の競合製品と見られることに、少し違う気もしています。」とのこと。

WiiにしてもDSにしても、製品開発の根っこには、こうした経営方針が浸透していると理解しています。

I社長は、かつて任天堂が買収した先の小さなソフト開発会社にいた人で、任天堂の創業家出身のY社長(当時)から、創業家以外で初めて、しかも40歳そこそこでトップに抜擢された人。ですが、創業製品である“花札”に見られる“任天堂とその顧客の生きる道”を理解できる人材だったからこそ、これからの同社を引っ張っていけると判断されてのバトンタッチだったのではないでしょうか。

Posted by 林 義和 at 2007年02月25日 12:14
おお、貴重な話をありがとう。「もともとの発想が違うので」ってあたりが非常にブルーオーシャン的ですね。逆にこの製品は誰をcompetitorとして見ているのかを聞いてみたい所です。でも、ちょっと見方を変えると、会社として原点に立ち返っただけ、と見ることも出来ますな。思えば元々百人一首とか作ってた会社。手段は変われども会社として生み出そうとしている価値がなんであるかを見失わなければ継続的な成長も今後臨めそうですね。
Posted by kensuke at 2007年02月26日 10:37
X-box360は日本ではバツバコとか言われてすっかり死に筋のハードですが、全世界では次世代機で唯一1000万台売れているハードなのでソフトメーカーとしては無視できません。しかも映画のダウンロードとか始まってまた更に盛り上がるかもしれません。というわけでStrategy的にはX-box360こそがベンチマークと言って差し支えないと思います。

PS3とWiiの関係はイノベーションのジレンマで言うところの持続的イノベーションと破壊的イノベーションの関係かと思います。PS3の失敗は、マーケティング的に見るとChasmを越えられないWhole productになり切れない典型かもしれません。

とは言っても個人的にはPS3に頑張って欲しいところではあります。「ガンダム無双」買ってください。。。
Posted by y-46 at 2007年02月27日 00:32
業界人としてのコメント、なにげにお待ちしていました(笑)。

X-Boxこそがベンチマーク・・・そうですか。どうも影の薄い存在のような気がしておりましたがあながち侮れないわけですね。しかし映画のDLとかの世界が入ってくるとまた業界地図が大きく変わりそうですね。

Wiiは確かにdisruptive innovationかもしれませんね。言われてみれば定義的には一番しっくり来るような気もしてきました。

ガンダム・・・欲しいです。
Posted by kensuke at 2007年02月27日 10:33
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